想定する場面
立て替え分が入金されないまま全東信破産の報を知った店
- 端末で上がった売上が、入金されないまま宙に浮いている
- この未収分がどう扱われるのか、誰に聞けばいいのか分からない
- 届出という言葉は聞くが、何をいつまでにやるのか見当がつかない
全東信を経由して未入金のまま残った売上は、破産債権として扱われます1。この記事では、届出から配当までの一般的な流れと、確認先を整理します。手続きの断定はしません。最終判断は管財人と弁護士に確認する前提で読んでください。決済が止まった経緯の全体はハブ記事にまとめました。
未収売上は破産債権になる
まず、宙に浮いた未収分がどういう位置づけになるのかを確認します。感覚ではなく制度の言葉で押さえます。
破産債権とは何か
破産債権は、破産手続の開始前に生じた金銭の支払請求権のことです2。全東信を経由して未入金のまま残った売上も、この請求権にあたります1。
破産手続では、裁判所が開始を決め、破産管財人を選びます2。管財人が破産者の財産を金銭に換え、法律の順位に従って債権者へ配当します2。未収売上は、この配当を受け取る側の権利という位置づけです。
従来の入金サイクルでは戻らない、の意味
破産債権になるということは、これまでの入金サイクルどおりには戻らないということです。全東信の月6回入金を前提にした資金繰りは、いったん切り離して考える必要があります。
配当があるかどうか、あるとしていくらか、いつかは、現時点では決まっていません。まずこの前提を受け止めたうえで、次の手続きに進みます。決済手段の立て直しは並行して考えておきたい点です。乗り換え先の一例は Square のような端末不要のサービスです。詳しくは入金サイクル比較の記事にまとめました。
届出から配当までの流れ
破産債権は、届け出て、調べられて、配当されるという順で進みます。全体像を先に置いておきます。
開始決定と、破産手続開始通知書
破産手続の開始が決まると、その旨が官報に載ります2。裁判所に届け出のある債権者には、破産手続開始通知書が封書で郵送されます2。
この通知書には、事件番号、破産者の氏名や住所、破産管財人の氏名と連絡先、債権者集会の期日などが書かれています2。届出の期限や送り先も、この通知書を基点に確認します。
届出、調査、配当という順序
配当がある管財事件では、破産債権届出書が通知書と一緒に送られてきます2。この用紙に必要事項を書き、証拠書類のコピーを添え、決められた期限までに管財人へ送ります2。
届け出た債権は、管財人が内容を調べます。財産を換価した結果に応じて、配当があれば行われます2。期限内に届け出ないと、配当を受けられないことがあります2。この一文は落とせない注意点です。
届出に必要になりそうな書類
届出書そのものは管財人から届く用紙を使います。手元では、その裏づけになる資料をそろえておきます。
売上記録・契約書・入金履歴
未収額の根拠を示す資料が要ります。端末の取引履歴、日々の売上記録、全東信との契約書、入金の履歴などが該当します。
日付ごとに、いくらの売上がいつまで未入金かを一覧にしておくと扱いやすいです。届出書の証拠書類として添える形にもなり、税理士に相談するときの土台にもなります。
期限と書式は管財人の通知書で確認する
届出の期限や、届出書の具体的な書き方は、事案ごとに違います。一般論で決め打ちせず、届いた通知書と用紙の記載に従うのが安全です2。
書き方に迷う場合は、管財人室に確認できます。金額の数え方や添付の範囲など、判断に迷う点は先に整理してから問い合わせると、やり取りがスムーズになります。
管財人室への連絡
窓口は破産管財人です。連絡先の確認の仕方と、通知書が届かない場合の動き方を書いておきます。
連絡先と、問い合わせ前の準備
全東信の破産管財人は、印藤弘二弁護士(はばたき綜合法律事務所)です3。問い合わせ先は全東信破産管財人室、電話06-4704-4681、受付は10時から17時です3。
電話が混み合うことも考えられます。自店の未収額と取引期間を先に整理してから連絡すると、要点が伝わりやすくなります。連絡した日時、担当者名、聞いた内容はメモに残しておきます。
通知書が届かないときの確認先
官報で破産を知ったのに開始通知書が届かない場合もあります。管財事件では、破産管財人に連絡して通知書一式を受け取る流れです2。
管財人の連絡先が分からないときは、裁判所に事件番号と破産者名を伝えれば、管財人事務所の電話番号を教えてもらえます2。自分が債権者として記録にあるかどうかも、電話ではなく管財人への確認になります2。
してはいけないこと
焦って動くと、かえって立場を悪くすることがあります。避けたい行動を先に確認します。
止まった端末での決済続行
全東信の決済サービスは全面的に止まっています1。カード会社との包括契約も解除されています1。動くように見える端末でも、そこで決済を続けるのは避けます。
未入金がさらに積み上がるだけでなく、後の整理を複雑にします。決済を再開したいなら、止まった経路の続行ではなく、新しい契約先を選ぶ形になります。当面の再開手段の一つが Square で、条件や審査はハブ記事で触れています。
独断での相殺や取り立て
未収があるからと、自分の判断で相殺したり、破産者に直接取り立てたりするのは控えます。破産手続が始まると、債権の扱いは手続きの中で決まります2。
個別に動くと、他の債権者との公平性を欠く形になりかねません。判断に迷う行為は、実行の前に管財人か弁護士に確認するのが安全です。
取引先の倒産に備える共済という道
未収が戻らない間の資金には、借入という選択肢もあります。加入していれば使える共済が一つあります。
経営セーフティ共済という仕組み
経営セーフティ共済は、中小企業倒産防止共済制度の愛称です。中小機構が運営しています4。取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったとき、共済金の借入れを受けられます4。
借入れは無担保・無保証人です4。上限は、回収困難になった売掛金債権等の額か、納めた掛金総額の10倍(最高8,000万円)の、少ないほうの額です4。破産などの法的整理は、借入れの対象になる倒産に含まれます4。
加入が前提、該当するかは中小機構に確認
使える前提は、その店がすでにこの共済に加入していることです4。全東信の破産を知ってから加入しても、今回の未収には間に合いません。
全東信への未収が対象の売掛金債権等にあたるか、借入れの条件や注意点は、事案ごとに変わります。加入している場合は、中小機構の共済サポートに、対象になるかどうかを確認するのが確実です4。
最終判断は管財人と弁護士へ
ここまで一般的な流れを書いてきました。実際の手続きは、事案ごとに細部が変わります。
届出の期限、書式、金額の数え方、税務上の扱いは、最終的に管財人と弁護士、税理士に確認してください。この記事は全体像をつかむための下地です。個別の判断を置き換えるものではありません。
未収が戻らない間の資金繰りをどう繋ぐかは、論点が多いため資金繰りの記事にまとめました。公的な支援メニューから取引先との交渉の仕方まで書いています。決済の立て直しを含めて動くなら、 Square のような手段も選択肢に入れて、管財人への確認と並行して進める形が現実的だと思います。
Footnotes
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ITmedia(Yahoo!ニュース配信)https://news.yahoo.co.jp/articles/5245bd9e87bcdc5526fa26ee73a1f7163c669c5d ↩ ↩2 ↩3 ↩4
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裁判所 東京地方裁判所民事第20部(倒産部)破産手続に関するよくある質問 https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section20/situmonn_tousannbu/index.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15
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帝国データバンク 倒産速報 https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/flash/5242/ ↩ ↩2
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中小機構 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)制度の概要 https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/features/index.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7